平成28年3月8日

内閣総理大臣 安倍晋三 殿

外務大臣   岸田文雄 殿

慰安婦の真実国民運動

代表 加瀬英明

     <要望書>国連女子差別撤廃委員会の不当な見解に反論を

(一)
去る2月16日、国連女子差別撤廃委員会の日本審査会で、日本政府代表は、慰安婦の「強制連行」を示す資料が何一つなかったにもかかわらず、国際的な問題にまでなったのは、「強制連行」の創作話を朝日新聞が事実であるかのように報道したことによるものであったことを明らかにした。さらに、「性奴隷」は事実に反すること、「20万人」は挺身隊と慰安婦を混同したものであり根拠がないことなど、日本政府の立場と見解を説明した。  この説明は、日本政府として初めて、まとまった形で、「慰安婦=性奴隷」などの国際社会の誤解を、正面から、公式に否定したものであり、遅きに失したとはいえ評価されるべきものであった。これによって、日本政府=外務省は、国益にかなうよい実績を残したのであり、政府並びに外務省関係者の尽力に感謝したい。その政府答弁に至る流れをつくったのは、昨年7月の同委員会における私たち民間団体のメンバーの発言であったこともここに明記しておきたい。 ところが、3月7日、同委員会は日本政府あてに「最終見解」を発表したが、慰安婦問題についての旧態依然とした日本批判を繰り返しただけでなく、新たに許しがたい内政干渉行為に該当する記述もあった。その問題点を指摘し、日本政府がこれに対し、適切に対応するよう要望したい。

(二)
国連女子差別撤廃委員会の見解は、以下のような重大な問題を含んでいる。

(1)
今回日本政府は、慰安婦問題の誤解が広がった起こりに立ち返って事実関係を説明したにもかかわらず、それを無視して、従来の思い込みを前提に、新味のない見解を踏襲している。それは、「被害者」(victims)という言葉を相変わらず使っていることにも、端的に表れている。この基本的なスタンスは、どうみても日本に対する不当な扱いと言わなければならない。ただし、「強制連行」、「性奴隷」などの言葉の使用を避けているのは、政府説明の一定の効果といえよう。
(2)
そもそも、この慰安婦問題が、日本が女子差別撤廃条約を批准した1985年以前に起きたことなので、委員会で取り上げるテーマではないという日本政府の代表の発言については、「遺憾である」として退けている。
(3)
日本は慰安婦問題に関する記述を教科書から削除したとして、「教科書に慰安婦問題を十分に記載」することを求めている。教育は国家の主権の中心的構成要素であり、国際機関が容喙すべきものではない。さらには、日本の指導者や政治家の発言についてまで注文をつけている。日本は民主主義国であり、仮に政治家が不適切な発言をしたとしてもそれは国内の世論によってただされていくべきものである。これらの不当な内政干渉について、強く抗議する。
(4)
見解は、昨年末に公表された日韓合意についてまで批判し、「被害者中心のアプローチが十分にとられていない」と言う。この批判は、北朝鮮の影響下にあるとされる韓国の運動団体の偏った視点を代弁したものである。

(三)
以上の問題点を踏まえ、私たちは日本政府に、以下のような対応を求める。

  • 第1に、今回の女子差別撤廃委員会の見解に対しては、さらに日本政府から反論する手続きが認められている。あくまで事実に基づく説明を、さらに力強く展開していただきたい。

  • 第2に、上記の反論に関連して、政府=外務省は、1996年に公表されたクマラスワミ報告への封印された反論文書を直ちに公表していただきたい。世界に向けて「慰安婦=性奴隷」の嘘がばらまかれた根源は、この報告書にあるので、政府は、国連に対しクマラスワミ報告の再調査、ないし撤回を要求していただきたい。

  • 第3に、そうした反論の態勢を整えた上で、安倍総理自ら記者会見を行い、慰安婦問題について世界に広がった誤解を解いていただきたい。

  • 第4に、歴史的事実を国際的に正確に発信するための政府直属の専門部署を設置し、日本の立場を継続して国際社会に発信する体制をつくっていただきたい。その際、国家基本問題研究所の「3項目の提言」*注を参考にしていただきたい。
                                    
以上

*注 国家基本問題研究所の政策提言(H28.1.21)

  1. 政府は、「事実関係に踏み込んだ体系的歴史認識の国際広報」を担当する専門部署を外務省とは独立した形で設置し、わが国の立場を正当に打ち出す国際広報を継続して行う。
  2. 国会は、事実無根の反日キャンペーンへの反論を政府の任務とする仮称「わが国の名誉を守るための特別法」を制定する。
  3. この間、国際的反論を行ってきた民間専門家がより一層、活発に活動できるように、国際広報における官民協力体制を築く。


To the top of this page
Return to Home